2019年10月におこなわれた消費税率の引き上げ。この増税を機に急成長を見せているのがキャッシュレス決済市場です。
今回はキャッシュレス決済の導入を考えている事業主の方に向けて、現在のキャッシュレス決済市場と今後の市場動向を解説します。
「キャッシュレス決済を導入することでどのような売上アップを見込めるのか」や「どのタイミングで導入すべきか」など、ご検討の材料としてお使いください。
日本のキャッシュレス決済の市場規模と今後の予測
2019年10月の消費税率引き上げにともないはじまった「キャッシュレス・ポイント還元事業」の後押しもあり、キャッシュレス決済を利用するユーザーは現時点でも増税前より非常に増えた印象です。
しかし、キャッシュレス決済の普及と市場規模の拡大は、今後もさらに拡大する著しいことが「電子決済総覧2019-2020(※)」にて言及されています。
電子決済総覧2019-2020によりますと、各キャッシュレス決済の市場動向は以下のように変化するとのことです。
2018年度 | 2025年度予想 | |
キャッシュレス決済市場 | 65兆3,720億円 | 約128兆円 |
2018年度のキャッシュレス決済市場と比べますと、2025年度の市場では約2倍にも迫ろうとしています。
なお、こちらはキャッシュレス決済全般の市場動向ですが、近年突出してきている「QRコード決済」に関しては、以下のとおり。
2019年度 | 2025年度予想 | |
QRコード決済決済取扱高 | 5,061億円 | 9兆7,467億円 |
クレジットカードやデビットカード、電子マネーといったキャッシュレス決済市場も2025年までには格段に伸びますが、なかでもQRコード決済は伸び率が突出しています。
以上のことから、販売機会や新規顧客の獲得機会を今後増やすためには、キャッシュレス決済の導入は必須。それも各種カードだけでなく、QRコード決済にも対応すべきだと予想されます。
(※)キャッシュレス決済の市場規模に関する調査レポート。カードビジネス専門誌「カードウェーブ」編集部、「株式会社電子決済研究」、「山本国際コンサルタンツ」により発行。
世界のキャッシュレス決済利用状況
世界各国のキャッシュレス決済利用状況は、以下の表をご覧ください。
国名 | キャッシュレス決済比率 |
韓国 | 89.10% |
中国 | 60.00% |
カナダ | 55.40% |
イギリス | 54.90% |
オーストラリア | 51.00% |
スウェーデン | 48.60% |
アメリカ | 45.00% |
フランス | 39.10% |
インド | 38.40% |
日本 | 18.40% |
ドイツ | 14.90% |
見てのとおり、海外では日本と比べ物にならないほど、キャッシュレス決済の利用率は高いです。
年々インバウンド需要が高まる日本ですが、2021年には東京オリンピックも控えています。
さらに先を見据えるのであれば、2025年には大阪・関西万博も控えています。
これらの期間中はまさしく勝負どき。爆発的に高まるインバウンド需要にそなえ、遅くとも2021年の東京オリンピックまでにはキャッシュレス決済を導入しておくべきでしょう。
都道府県別のキャッシュレス決済利用額比率
都道府県別のキャッシュレス決済比率は、以下の表をご覧ください。
日本経済新聞社が全国1万人を対象に調査した結果です。(2018年調査)
上位5位の都道府県 | キャッシュレス決済比率 |
千葉県 | 48.51% |
茨城県 | 48.49% |
東京都 | 48.44% |
富山 | 47.00% |
神奈川 | 46.41% |
全国平均は43.03%。ワーストは佐賀県の31.94%のため、上位が平均を引き上げている結果です。
世代別のキャッシュレス決済利用状況
世代別のキャッシュレス決済利用状況は、さまざまな企業が独自に調査していますが、意外にも現金の利用率が高いのは20代。
キャッシュレス決済の利用率が高いのは、30代~50代であることがわかっています。
ただし、キャッシュレス決済利用率の内訳を見てみると、上の世代になるほどクレジットカードの利用に偏り、若い世代ほどQRコード決済や電子マネーといったクレジットカード以外の利用率も高くなる傾向です。
キャッシュレス決済の利用頻度
2019年10月の増税前後で、キャッシュレス決済の利用頻度は以下の通り変化しています。
Applivが全国の20代~70代までの男女698人を対象に調査した結果です。(2019年調査)
増税前 | 増税後 | |
月数回 | 25.10% | 21.60% |
週1回 | 13.90% | 14.60% |
週2~3回 | 33.50% | 33.50% |
週4~5回 | 13.90% | 14.90% |
ほぼ毎日 | 12.90% | 14.60% |
そのほか | 0.70% | 0.70% |
増税前と比べ、増税後は全体的にキャッシュレス決済の利用頻度が増加していることが、こちらの表からもうかがえます。
利用したことのあるスマホ決済は?
数多くあるスマホ決済サービスですが、各サービスの利用者数は以下の表をご覧ください。
Applivが全国の20代~70代までの男女893人を対象に調査した結果です。(2019年調査)
上位5位のスマホ決済サービス名 | 利用率 |
PayPay | 37.60% |
楽天ペイ | 24.20% |
LINE Pay | 23.00% |
d払い | 17.40% |
メルペイ | 12.00% |
以下続きますが、PayPayが抜きん出ています。
これは大規模な還元サービスをPayPayがおこなっていたためでしょう。
最近ではPayPayの還元サービスも縮小されてきているため、今後はまた順位に変動があると予想されます。
まとめ
現金主義が根強い日本ですが、近年では国をあげてキャッシュレス化を推し進める動きもあります。
経済産業省からは、2025年までにキャッシュレス決済率を40%まで引き上げることを目指す「支払い方改革宣言」も発表されています。
今後は企業の規模に関係なく、キャッシュレス決済は導入されていて当たり前の時代がやってくるでしょう。
販売機会と新規顧客の獲得機会を増加させ、ひいては売上UPを狙うためには、いち早いキャッシュレス決済の導入が望まれます。